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【てだこウォーク】琉球歴史家・賀数仁然と巡る琉球王国発祥の地・浦添

てだこウォーク  2018年12月15日

   「琉球王国発祥の地・浦添」を歩く、てだこウォーク2019 

 

2019年2月2日(土)・3日(日)に開催されるてだこウォーク2019では14世紀に造られたとされる城壁が残る浦添グスクなど、琉球王国時代の歴史感じるスポットをウォーキングコースで巡ることができます。

琉球王国発祥の地といわれる浦添では鎌倉時代にあたる12世紀半ば頃から舜天王統・英祖王統・察度王統と3つの王統が興り、約250年にわたって沖縄本島中部一体を支配下におさめました。
14世紀には浦添グスクを拠点に勢力を拡大し、琉球史上はじめて明との貿易を開始するなど栄華を極めました。

 

 

    琉球歴史家・賀数仁然と巡る「琉球発祥の地・浦添」 

歴史ロマンあふれる浦添の土地を巡る「てだこウォーク」では様々な歴史スポットを巡ります。 コース上に点在する歴史的スポットの見どころについて、琉球歴史家・賀数仁然(カカズヒトサ)氏にうかがいました!

ここで琉球歴史家・賀数仁然(カカズヒトサ)氏について簡単にご紹介。

琉球歴史家として沖縄県内で活動する賀数仁然(カカズヒトサ)氏は放送作家、ラジオパーソナリティなど多方面で活躍中。

世界遺産にまつわる琉球王国の歴史文化とエンターテイメントの融合をテーマに琉球・沖縄の歴史文化を様々なメディアを通して発信。

また「さきがけ!歴男塾」の著者として執筆活動も行い、現在「さきがけ!歴男塾2」は多くの方に読み親しまれています。

 

さっそく、琉球歴史家・賀数仁然(カカズヒトサ)氏がおすすめする「琉球王国の歴史を感じるウォーキング」の見どころについて語っていただきましょう!

 

 

 見どころ① 

石造りのアーチ橋が美しい、安波茶橋(あはちゃばし)
住宅街から階段を降りると、いきなり琉球の時代にタイムトラベルしちゃう不思議な場所。王国時代に整備された国道および通信網である、国頭・中頭方西之宿の一部なのだ。

浦添グスク内にある「浦添城前之碑」によれば、石畳含め、1597年に尚寧王は、浦添グスクと首里城を往来するために整備させたとある。ところがその12年後…薩摩侵攻で薩摩からの兵士はこの道を使って首里城へと迫った…という皮肉の道でもあるのだ。国指定史跡。

 

 見どころ② 

昔からの言い伝えが残る、経塚の碑(きょうづかのひ)
ビックリしないでね、実はこのあたり、出たんですよ。マジムン(妖怪)が。結構いっぱい。500年前尚真王だけどね。

日本からやって来た日秀上人(真言宗高野山でも修業した結構エリート)が、マジムンに悩まされている人たちのために、お経を石に書いて、ここに封じ込めて塚にした。

おかげでマジムンの跋扈は収まった。碑の下がその塚。そう、そのまま土地の名前になったね。今でも、沖縄のおまじない「チョーヂカ、チョーヂカ」として残る。

 

 見どころ③ 

ユネスコ無形文化遺産「組踊」創始者・玉城朝薫の墓(たまぐすくちょうくんのはか)
ちょうど300年前。外交の儀礼“重陽の宴”において、琉球国の威信をかけた芸能が披露された。音楽、歌、芝居、舞いの総合芸術として創作された、宮廷芸能の頂点だ。

現在ユネスコ無形文化遺産として登録され、世界中に注目されている。組踊(くみおどり)創始者がこの墓に眠る玉城朝薫(1684年~1734年)だ。

当時のスーパースターだが、戦前まで石嶺にあった通称“ひとり墓”に、葬られたと伝わっていた。

近年の調査で明治期にここに移葬されたことがわかった。初期の亀甲墓が残る貴重な文化財。

 

 見どころ④ 

たくさんの呼び名のある、ワカリジー
浦添城跡、東の端には、特徴的な形をした、切り立った岩がある。ハナレジー、為朝岩、あるいはニードルロック、ナゼ英語?(それは後で説明。)

とにかく名前がたくさんあり、昔からランドマークとなっていた。というのも、冬至の日になると、ここから朝日が生まれてくるように見えるのだ。

「陰極まれば、転じて陽となす」冬至の太陽は、生まれたばかりの若テダなのだ。琉球人にとって太陽は特別な存在。

この岩は、生まれ変わった最初の太陽が現れるという、いにしえのエナジーポイントなのだよ。

 

 見どころ⑤ 

鎌倉時代に築城された、浦添城跡(うらそえぐすくあと)
13世紀末ごろに造られたとされる大型グスク。按司と呼ばれるリーダーがグスクを拠点に群雄割拠の時代、このグスクは、沖縄本島の中頭~那覇付近まで、最大版図をもつ、中山グループの中心であった。

舜天・英祖・察度と三つの王統により栄華を極めたが、佐敷から身を起こした尚巴志によって、その座を奪われた。

やがて首里に遷都されるが、琉球の大交易時代黎明期は、浦添が中心であった。

近年発掘調査では、高麗系灰色瓦、金属工房跡などが見つかっており、他グスクを圧倒する繁栄がここにあった。

詳しくは大会当日にご案内!

 

 見どころ⑥ 

琉球王国の王が眠る、浦添ようどれ(うらそえようどれ)
浦添グスクに隣接する王の墓。別名「極楽陵」とも呼ばれる。13世紀の英祖王統の墓と、第二尚氏七代尚寧王(1564年~1620年)とその一族が葬られている。

「ようどれ」とは「夕凪」という意味で、静寂な海=死後の世界、つまりお墓を意味している。気になるのは内部。

実は、浦添グスクようどれ館では、西室(英祖王統側)内部を再現した実物大のジオラマがあるのだ!

琉球には存在しない石材で作られた大きな蔵骨器と、そこに刻まれた、謎レリーフ、歴史の謎解きにぜひとも訪ねてもらいたいっス!

 

 見どころ⑦ 

現存する数少ない石畳道・当山の石畳(とうやまのいしだたみ)
1644年尚賢王の時代から、国王の普天間宮参詣が正式な行事として催されるようになりました。

普天間宮は、熊野権現をまつる神社で、波之上宮、天久宮、沖宮、識名宮、末吉宮、金武宮、安里八幡宮と合わせて、琉球八社といい、王府の保護を受けていた。

普天間宮と首里城を結び、歴代の国王も通った、“信仰の道”なのだ。

また、日本の沖縄県になってからも、戦前まで普天間宮までのこの道は松並木が残り、お参りと行楽を兼ねた物見遊山のコースだった。

県内に残された数少ない石畳道で、S字にうねる道は、今なお当時の雰囲気を感じさせてくれる。国指定史跡。

 

 見どころ⑧ 

野面積み城壁が残る、伊祖城跡(いそぐすくあと)
「てだぬふぁ(太陽の子)」伝説、カリスマ英祖王の生まれたグスクとされる。

琉球国最古の歌謡集『おもろさうし』巻十五には、「ゑそゑそのいしくすく/あまみきよか/たくたるくすく(以下略)」とあり、開闢神アマミキョによって築かれたと謡われ、神聖な場所であったことがわかる。

ところどころに、野面積みが残り、伊祖神社(1935年建立)として鳥居があるあたりが、住居跡だろうと考えらえる。

詳しい調査が行われていないため、謎のが多いグスクだが、そこがまた魅力。

青磁・白磁・染付などの中国製陶磁器なども見つかっており、眼下ある牧港を交易の拠点にしていいたのだろうか?歴史ロマンだね!

 

 見どころ⑨ 

ハリウッド映画の舞台となった、ハクソーリッジ 

2月2日(土)にエントリーの皆さんは、てだこホールをスタートすると、浦添グスク、浦添ようどれ付近の坂道を下って、宜野湾市嘉数高台方面に向かいルートをとる。

この道が1945年の沖縄戦で激しい戦いがあった道だ。浦添グスク方面を眺めると、崖になっている。

今は緑で覆われていてわかりにくいけど、かなり険しい。

進軍したアメリカ兵たちはこの壁を、“ハクソーリッジ(のこぎり断崖)”と呼んだ。

ピンと来た人もいるかも…そう、メル・ギブソン監督のハリウッド映画「ハクソーリッジ」だ。

映画では沖縄戦であること、浦添で起きた激しい戦闘であることは、一切伏せられているが、戦争の悲惨さは十分伝わる映画だよね。

 

 見どころ⑩ 

アメリカンな雰囲気残る、マチナトコマーシャルエリア

2月3日(日)にエントリーの皆さんは(10kmと20kmコース)、国道58号線の牧港―港川付近を歩くことになるが、この辺はいまだに古きアメリカの香りが残るんだ。

現存するブルーシールアイスクリームのお店や、過去にはバヤリース、洋酒を扱うバークレイ商事(現浦西にあるバークレーズコートを運営)もあり賑わっていた一帯。

ここは、戦後マチナトコマーシャルエリアと呼ばれた地区でアメリカ資本の企業が多かった。

牧港補給基地(キャンプキンザー)ができ、物資が集まる場所となったからだ。

伊祖には米軍向けのコカ・コーラ工場も稼働しはじめ、物流拠点ともなっていてモータリゼーションも進んだ。

自動車関連のお店が多いのもこのためなのだ。近くには外国人住宅も残り、今も当時のカジャー(香り)を感じることができるエリアだ。

 

   賀数仁然の歴史ガイド付「てだこウォーク2019参加ツアー」 

てだこウォーク2019参加ツアーへご参加いただいた方限定で、賀数仁然の歴史ガイドを開催!

大会当日に賀数仁然の歴史ガイドが楽しめる「てだこウォーク2019参加ツアー」へのお問合せ・お申込みは沖縄ツーリスト東京支店まで。

沖縄ツーリスト「てだこウォーク2019参加ツアー」:https://www.otsinfo.co.jp/tyo/contents/tedakowalk.html

 

 

<琉球歴史家・賀数仁然(カカズヒトサ)プロフィール>

 

 

昭和44年12月9日 那覇市生まれ。46歳。
早稲田大学大学院 人間科学研究科修了(生命科学専攻)
放送作家、ラジオパーソナリティ&琉球沖縄民俗歴史マニア

2009年有限会社FEC(芸能プロダクション)にて文化事業部設立し、ツアー企画、観光ガイド業を開始。
世界遺産にまつわる琉球王国の歴史文化とエンターテイメントの融合をテーマに琉球・沖縄の歴史文化を様々なメディアを通して発信中。

TV3ch毎週土曜23:24「琉球サウダーヂ」構成・監修
RBCiラジオ月〜金「琉球漬け」
FM沖縄ゴールデンアワー毎週月曜日15時「かかずのま」
沖縄タイムス「魁!歴男塾」連載中 他